WHF2005 コンテスト Solo Chromatic Jazz

今日はいよいよコンテスト。
演奏順は不運な1番。昨日の練習室で少しでもウォームアップをしようとKonservatoriumに立ち寄ってしばらく練習。いよいよスタート15分前なので会場入りしようと入り口を外に…
   ガタガタ。
   あれ?空かない。おかしい。

向こう側に人がいる気配がする。“I can’t open!”と声を張り上げてみたら“I can’t open, too!”の返事。
   やばい!閉じ込められた!!
時間もないし、もう大パニックですよ。
1Fをかけずり回って見つけた窓。
   仕方ない。ここから出よう。
   なんでドイツで泥棒みないなことやってんだ俺(泣)
しかし1Fと行っても中2階ぐらいの高さのフロアで地面までは2mほどはありそうだ。
窓に腰掛け、足場になりそうな出っ張りに向かって足を伸ばした足をかけようとしたそのとたん…
転落。
   痛っっってぇぇぇぇ!
尻餅をついたのは良いけれど、左腕をひねった。筋が変なところに行ってしまい腕が延びたまま曲がらない。これじゃマイクが持てない…と痛いのに妙に冷静。
ともあれ、すぐ近くの会場に入ってみると、もう出演者はほとんどそろっている様子。たった今起こった珍事を友人に話している最中、腕の筋が元に戻って腕が曲げられるようになった。痛みはまだあるけれど気合いで乗り切るしかない!
いよいよ、と思って構えているが、なかなか始まる気配がない。
そのうち、審査員のジュリアン・ジャクソンが行方不明で開始が10:15になるとのアナウンス。ジュリアン、
おいおい。
飲み過ぎ→寝坊じゃねーのか?(笑)
飛び降りる必要なかったじゃん。
まぁそんなこんなで始まった演奏。
「ここで、こんなに大勢のハーモニカ友達の前で吹けてとてもうれしいです」みたいなことを話し、合図をすると出国直前まで作ってたOnly Trust Your Heartのカラオケのイントロが流れ始めた。
Contest
コロガシ(モニター)鳴ってないし(泣)
緊張してて唇はカラカラだし(泣)
あ゛~~~
途中でジュリアン・ジャクソンがPAに行ってモニターを復旧してくれた。
しかし無情に5分30秒が経過。
エンディングだけ、は上手く行ったかなぁ。
その後はしばらく変な高揚と落ち込みと痛さと混ぜこぜの放心状態。
そんな中で印象的だったのは、大阪の徳永さん教室の生徒さん(?)Spainを演奏された細田さん、アメリカのJoe Powers、
伸びやかな音色のブラジルのRodrigo Eisinger。
Joeは大会の後もフランスで演奏予定の、ほとんどプロ。テクニカルだし、見せる方も申し分なし。この大会もクラシックも含む複数のカテゴリにエントリーしているのが話題になっている。ついでに結構アイドルっぽいルックス。
Rodrigoとは演奏後にバーカウンターで話したけれど、いつもブラジルではギターとのデュオで演っていることを周りの人間に話したところ、じゃあカラオケじゃなくてピアノ伴奏やってやる、というピアニストが現れ、彼の伴奏で演奏したから、ちょっと勝手が違ったんだそうだ。その後もフェイジョアーダ(ブラジル料理)とカイピリーニャ(カクテル)だのの話題や「ウチ、サンパウロだからブラジルに来たら泊めてあげるよ」「まじで~?」などと話が盛り上がってしまう。
そして、ふたりそろって1位を穫ることになるイタリアのAlberto Varaldoの演奏を聴き逃した。アホか。

WHF2005 Hohner Konservatoriumで練習

Hohner Konservatorium練習室
クラシック部門に出場のrondoさんより教えてもらって来たのがここ。
トロッシンゲンにはHohnerが運営するハーモニカ専門学校Konservatoriumがある。その練習室。大会の練習用に指定された部屋は、空いていれば勝手に使って良いらしく、ここで午後2時間ほど練習。
はっきり言って古くてボロい建物だが、木造の内装はとても趣がある。床のきしみや廊下のにおいは、小学生の頃の木造校舎を思い出してとても懐かしかった。
そしてこの屋根裏(?)の練習室。思いの他残響があって上手く聞こえる(笑)。とても気持ちよく練習できた。
その後、15時からもSolo Chromatic部門の自由曲演奏を見学。
さすがに明日本番なので練習せねば、ということで、残念ながら夜のライブ“Diatonic Harp -The Next Generation-”は欠席。最も見たいライブだったが背に腹は代えられません。残念。

WHF2005 コンテスト Solo Chromatic adult

今日は朝からクロマティックのアダルトクラシック部門コンテスト見学。
会場はEvang. Gemeindehausという音楽ホール。パイプオルガンがあったりして、クラシック専門の中規模コンサートホールといった感じ。
Evang. Gemeindehaus
ちなみにクラシック部門はPAなし。ピアノ伴奏も含め、すべて生音での勝負だ。昨日に比べて冷え込んだ今日。ぴーんとした冷たい空気の中、粛々と出場者が演奏していく。JTB主催のツアーが企画されるほどなので、こちらも日本人出場者が多い。
クラシックのことは演奏される曲目もテクニカルな面も知らないことが多いけれど、よくクロマティック・ハーモニカで演奏されるTredo(James Moody)の後半部分はとてもポップだなぁと気づいた。トゥーツがオペラとか歌曲を取り上げたりしているけれど、メロディが持つポップさ、というのは演奏されるスタイルには関係のないものだと改めて感じた。

WHF2005 ワークショップ Jazz Chromonica by Julian Jackson

ジュリアン・ジャクソンについては、CDもライブも聴いていないのでまだどんな奏者か分からない。
内容は、II-V-Iについて。
1)ルートだけを演奏し、次にルート+3度、トライトーンすべて、7th…と拡張しつつ練習するのだ。全キーで。
2)典型的なリックをたくさん覚えるのだ。全キーで。
3)Charlie Parker Omni Bookを大いに参考にすべし。
という内容で、要するに近道はないぞ、と言うことでしょうか。
終了後に、リズムに関してはどういったことに気をつけて演奏すれば良いのでしょうか、と尋ねたところ、全く同じことを言っていた。
まぁ、近道はないぞ、ということでしょうか。
ワークショップ中もずっとビール飲んでたし、この人、酔っぱらいだからなぁ。酔っぱらいって同じこと何度も話すし(笑)。

WHF2005 コンテスト Solo Diatonic Blues / Rock / Folk / Country

Solo Diatonic Jazzと同日の午後、ブルース/ロック/フォーク/カントリー部門が行われた。こちらの出場者は19人、ブルースハープという言葉から想起される音楽のコンテストだと思ってよい。
前述のFilip Jersはこちらにも出場。
Filip Jers
もうひとり、昨日たまたま声をかけたNikola Jovanovic(セルビア)も出場。
Nikola Jovanovic
このふたりの争いは非常にスリリングだった。
Nikolaは正統派のプレイを展開し、かたやFilipはかなり変態チック。ふたりともスタイルという点では確立されているが、オリジナリティという点ではややFilipの方が上回っているか…いずれにしても最上位はこのふたりの争いになるだろう。日本からも山口さん、平松さんが参加。こちらのふたりも上手い!
いったいどんな結果になるやら。

WHF2005 ワークショップ Get Funky! by Steve Baker

FIH(国際ハーモニカ協会)の副会長でもあるブルースハープ奏者のスティーヴ・ベイカーのワークショップ。英語をメインに、国内からの出席者のためにドイツ語での説明もしていたので、なかなか大変そうだった。
内容はブルースハープ以外にも、極論すれば他の楽器でも通じそうな汎用的な内容。ゴーストノートについての説明が最も興味深かった。
ドラムだって(そしてドラムの打ち込みだって!)スネアのゴーストノートは非常に重要。
ブルースハープだとコードのプレイがあるので、ゴーストノートはバッキングのファンキーさを出す上で重要なポイントになる、というのは容易に想像できるが、きっとクロマティックにも同じようなポイントがあるはず。そんなところにもこれからは注意してCDを聴いてみよう。

WHF2005 コンテスト Solo Diatonic Jazz

FIHの日本でのコンテストは「ブルースハープ部門」なので、“ブルース/ロック/フォーク/カントリー”と“ジャズ”でカテゴリが分かれているだけでも興味深い。自体は両方に出場しているプレーヤーも多いのですが。
全11名、デューク・エリントンのDon’t get around much anymoreでの出場者が2名、ガーシュウィンのSummertime、Take 5などなど。
そんな中で、Filip Jers(スウェーデン)がとんでもなくすごい。
Filip Jers
オーバーブロー/ドローというのが信じられないほど完璧なピッチで細かいフレーズを吹いていた。そういったテクニカルな点だけでなく、借り物でない自分のスタイルを持っていることが素晴らしい。
プロ、アマチュア関係なく、フェイバリット・ダイアトニック・プレーヤーのひとりになりました。

Road to Trossingen

ホテルのあるフィリンゲン・シュヴェニンゲンからトロッシンゲンへの道です。最初こそ幹線道路沿いの自転車レーンですが、そこから外れるとすごい田舎道。
途中に自転車で上れないような坂が。振り返ってみるとこんな景色。
Road to Trossingen
農耕地も車道と分けて舗装された歩道・自転車道が平行している。写真は歩道・自転車道の方。
Road to Trossingen
片道50分弱。
夜、真っ暗なこの道を自転車で帰るのはさすがに気が引けるので、会場とホテルをつなぐシャトルバスに乗ってしまおう。

WHF2005 世界ハーモニカフェスティバル2005開会式

暗くならないうちにと、16時ちょっと前に世界ハーモニカフェスティバルの会場であるトロッシンゲンへ向かう。
ほとんどの幹線道路沿いの歩道は自転車と兼用。そのせいで自動車道の路側帯が狭いので、日本のように車道をロードバイクで飛ばすのは難しい道がありそう。
この界隈はすごく田舎で、すれ違う人も自転車も少ないので最初は結構飛ばせました。しかし途中、道に迷った上めちゃくちゃ長い上り坂。漕げない。やっとトロッシンゲンにたどり着いてからも、会場のホールが分からず右往左往。へろへろになりつつ、なんとか2時間ほどで到着しました。道を覚えたので、明日は1時間でOKでしょう。
まずは受付を済ませ、同じくひとりだったセルビアから来ているニコラ君に声をかける。彼は18歳の学生。セルビアでもやはりマイナーな存在らしい。
ロビーのそこかしこで早くもテクニック自慢(?)が始まっていたり、既に火花が散っている。
WHF開会式
それにしても、ヨーロッパ圏で母国語が英語じゃないヤツもほんっと英語上手いよなぁ。ニコラ君もほんと上手い。さんざん英会話教室サボってるのにナンだが(笑)少々凹む。
オープニングセレモニーはこんな雰囲気。
WHF開会式
要人のスピーチなど固いムードでしたが、地元のハーモニカオーケストラがプレスリーをカバーしておじさんたちを盛り上げてました。ま、ぶっちゃけ演奏自体は微妙でしたが。
11月5日のジャズ・クロマティック部門のコンテストにエントリーはしてあったのですが、プログラムを見てびっくり。なんと演奏順は1番!
どうせ大した結果にもならないだろうし、気楽にやります、ハイ。

Stuttgart→Villingen-Schwenningen

シュトゥットガルトからフィリンゲン・シュヴェニンゲンへDB(ドイツ鉄道)で移動。
フィリンゲン・シュヴェニンゲンはガイドブックにも詳しく書かれていない小さな町。ツーリストインフォメーションで行き方を尋ねたら、乗り換え案内だけでなく到着駅周辺の地図やホテルまでの道のりまでプリントアウトされて出てきました。すげえや。
で、乗ったのはこんな電車。6両編成ぐらい。
DB
すごいのは1車両おきぐらいに自転車やベビーカーに対応していること。
自転車用の車両
これならブロンプトンでなくても余裕で載せられる。夢のような輪旅環境。実際、プラットフォームで自転車を引いている人を何人も見かけました。しかも、いかにもサイクリスト、という風情の人でなくフツーのお兄ちゃん。
最初はガラガラだった車両もフリースクール(?)のキャンプの子供たちに囲まれて賑やかに。途中、同じくハーモニカフェスティバルに参加するという韓国人のご夫婦とも一緒になりました。
乗り換え1回、2時間ちょっとでフィリンゲン・シュヴェニンゲン着。