Ray@MOVIX三好(7作品目)

オスカーの下馬評も高いこの作品、早速初日に観てきた。
試写会を観たJ-WAVEのナビゲーターが口を揃えて「クリソツ!」と言っていたが、全くその通り。まったくレイ・チャールズそのもの。ジェイミー・フォックスという役者が演じているようには全く見えない。長時間の作品だが、テンポが非常に良い。Rayのお母さんがこれまた立派な人。この母あってこそ、世の中Rayの音楽が満たしてくれたと思うと感謝感激。全く退屈しなかった。基本的にヒューマンストーリーなので、音楽好きでも、そこそこので人も十分楽しめます。★★★★☆。
時代の変遷とともにレコーディング技術やイクイップメントが変化していくのも興味深かった。
それにしても、シネコン事情が東京界隈と全く違う。
いつものTOHOシネマズにせよチネチッタにせよ、先週のとしまえんにせよ、レイトショーなんて人気作の初日でもガラガラだ。しかしMOVIX三好では先週公開のオーシャンズ12人気も手伝って1時間前から駐車場争奪戦、チケット売り場も大混雑。Rayも満員の観客の中での鑑賞だった。
元々こっちの方はクルマ文化なので、昔の「電車で繁華街に出かけて昼間に観るもの」から「車でシネコンに出かけて夜に観るもの」というスタイルに変わってしまったらしい。
(5/19追記)DVDもうすぐです。買います。
Ray / レイ
Ray / レイ

杉原徹・満月ライブ@新宿マローネ

そういえばアストロ劇團(俺のやってるバンドね)のボーカルU氏より誘いがあったなぁ、と思ったら今日だったので、新宿のマローネというライブハウスに行ってみた。
杉原徹」という名前になじみがなくても「てつ100%」なら僕と同世代なら知っている人もいるだろう。東京タコブルースの、あの「てつ」さん。満月の夜にここで行われるこのライブ、U氏は夫婦で1年ほど通っているほどの大ファン。
前半はWhat a Wonderful Worldなどのカヴァーを中心とした選曲だが、すばらしいのはオリジナルの日本語詞で歌われること。徹さんのウォームで味のあるヴォーカルにそれがとてもよくマッチしてとても心地いい。カヴァーも日本語だと、嘘がない感じでとてもすがすがしい。またMCでもベース梶野秀樹さんとギター北川涼さんのサポートは絶妙。3人の役割分担は往年のレッツゴー三匹を彷彿とさせるものがある(おいおい)。笑いっぱなしだった。
後半は、事前に梶野さんのサイトでU氏がリクエストしたコール・ポーターの「I Love You」も演奏された。わざわざ音源探しにメンバーがかけずり回ったのだそうだ。感激せぬわけがない。終演後に徹さんも「持ち歌にしたい」とおっしゃっていたが、声質にもハマっていたし、ホントにまた聴けたらよいなと思う。後半はミュージシャンシップにあふれた梶野さん・北川さんのサポートも特に冴えていて素晴らしかった。
チャージ1,500円。お金と幸福なんて比例しやしない。良いものは良い。楽しいものは楽しい。

グッドナイト・ムーン on DVD(6作品目)

グッドナイト・ムーン
グッドナイト・ムーン
ある人がネットで紹介していて、駅の改札を出た瞬間に見たくなってTSUTAYAで借りてきた。
3年前の熟年離婚。小学校高学年の思春期の娘、まだ幼い息子と暮らす夫(エド・ハリス)は、現在のパートナーの広告写真家のイザベル(ジュリア・ロバーツ)も呼び寄せ、4人で暮らし始める。
前妻ジャッキー(スーザン・サランドン)とイザベルの子どもを巡る確執は、あまりにヒリヒリしてオトコの俺でも辛い。
素直さを取り戻して少しずつイザベルを受け入れていく子供たちとともに、ガンによる自らの死期を悟ったジャッキーもまたイザベルを受容していく。
晩秋~冬にかけての景色の美しさにもまた救われた。特に母娘で雪原を乗馬するシーン。美しかった。
いい映画です。こういう映画で泣ける人は素敵。★★★★☆。

エリン・ブロコビッチ@ユナイテッドとしまえん(5作品目)

これももちろんスティーヴン・ソダーバーグ監督作品。ジュリア・ロバーツはこの作品でアカデミー主演女優賞を獲ったのだが、同じ2000年にトラフィックでベニチオ・デル・トロが助演男優賞獲ってるんだ。ふーん。
8歳、6歳、9ヶ月の子供を抱えるシングルマザーのエリン・ブロコビッチ(名前です)。無学なのに持ち前の行動力で大企業相手の集団訴訟に活躍…というストーリー。怖いシーンもなく、楽しめる、元気のいい作品。弁護士事務所の上司役アルバート・フィニーがいい味…とおもってなにげにプロフィールをチェックしたら、この人「男と女」のアヌーク・エーメと結婚してたことがあるんですね。愕然。★★★★☆。
エリン・ブロコビッチ コレクターズ・エディション
エリン・ブロコビッチ コレクターズ・エディション

アウト・オブ・サイト@ユナイテッドとしまえん(4作品目)

これもトラフィックと同じく、スティーヴン・ソダーバーグの監督作品。
犯罪ものだがコメディ色も若干あり、楽しめる作品。最初の方でジョージ・クルーニーとジェニファー・ロペスがクルマのトランクに缶詰になるシーン。ジョージ・クルーニーのエロおやじぶりが最高。この作品のJ-Loの顔が好き。字幕を追っかけるのを忘れるぐらい美しいですね。惚れました。
アウト・オブ・サイト
アウト・オブ・サイト

トラフィック@ユナイテッドとしまえん(3作品目)

「オーシャンズ12を作った人たち」みたいな企画オールナイト3本立てを発見し、わざわざ片道1時間のユナイテッドとしまえんに出かけた。
1作品目は23:00スタートの「トラフィック」。
この作品は昨年DVDで観て、どうしてもスクリーンで観たいと思っていた。
アカデミーも4冠だし、好みのドキュメンタリータッチだし。言うことなし。ハイキー&ローファイな色調は、スクリーン観ると一段と迫力がある。ベニチオ・デル・トロの眉間のしわが最高。ああいう顔に生まれたかったぜ。★★★★★。
トラフィック
トラフィック

西脇辰弥と私(前編)

いつか書かねばと思って書いていなかったネタがあった。
それは、西脇辰弥さんについてだ。
いつも長文だけど、今日は特別に長いです。覚悟しぃや。
      ◆      ◆      ◆
とあるサイトで知り合った友達が作った曲に、シンセで再現した「なんちゃってハーモニカ」のソロがフィーチャーされていた。とっても面白い曲のだが、確か他にもそんな曲があったなと思ってiPodをぐりぐり。笠原弘子の「夏物語」という曲を探し出し、通勤の最中リピートして何度も聞いた。
この曲は西脇辰弥さんの手によるアレンジだ。
西脇辰弥。
http://www.atmsphr.com/
キーボーディストであり、作曲家・アレンジャーであり、クロマティックハーモニカ奏者。僕が心から尊敬する職人肌のミュージシャンである。
「夏物語」はおそらく、まだ西脇さんがハーモニカ奏者になる以前の曲だが、不思議と西脇さんの本物のハーモニカっぽいフレーズが入っていて、何度もニタッとしてしまった。
これが、今日、西脇辰弥さんについて書いてみるかと思ったきっかけだ。
      ◆      ◆      ◆
1988年頃だったか。
千葉で学生生活を送っていた頃、レンタルCDでバイトしながらたまたま聴いた谷村有美のアルバム「Hear」と「Prism」。
彼女の透明感のあるハイトーンの声も好きになったが、アレンジのカッコ良さに一発で引き込まれてしまった。「Half Moon」や「眠れぬ夜の恋人たち」のような転調を多用したバラードをはじめ、何気ない曲中にきらっと光るシンセの音色があったり、最初はエレキギターのソロだと思っていたら、実はシンセソロだったり。
クレジットをチェックして、それらがTatsuya Nishiwakiという人の手によるものだと知った。
それから1年ぐらいたっただろうか。
当時、キーボーディストの端くれとしてChick Corea Elektric Bandなど愛聴していた。
特にドラマーのDave Wecklが大好きで、ファーストソロアルバム「Master Plan」は超ヘビーローテーション。変拍子ばりばり、かつポップ。彼が得意なラテンフィールのFestival De Ritmoなんて特にお気に入り。
当時僕はすでに曲作りをチマチマと始めていて、日夜ノリの良いドラムパターンを作ることに心血注いでいたのだが、そんなある日、何気なくテレビを見ていると、アイドルグループのribbonの新曲のプロモが流れた。
やたらとカッコいい打ち込みのラテンサウンド。まるでDave Wecklを打ち込みで再現したような…それでいて打ち込みらしいスクェアなリズムも残されている…ホーンセクションも、シンセベースも、何から何までめちゃくちゃかっこよくて、とてもアイドルグループの曲だとは思えない。しばし目と耳がテレビに釘付け。
   なんだコレは???
バイト先で、恥ずかしくてドキドキしながら棚からribbonのアルバム「Jessica」持ってきて、CDプレーヤーにセット。例の曲の曲名は「太陽の行方」だった。
   誰だよ、この曲のアレンジャー?
Tatsuya Nishiwaki
ぎょえー!!!
これがトドメだった。
完全に西脇辰弥さんの大ファンになった。
Tatsuya Nishiwakiの曲が聴きたい!
彼はきっと俺のために曲を作っているに違いない!(←すごい誤解)
がしかし、大問題が。
今でこそネットでちょちょいのちょいだが、いったい全体「アレンジャー」でどうやって曲を探せばよいのさ。
結局、バイト先で“らしい”CDを持ってきて、クレジット見てはため息をつく、という日々とともに、西脇さんの曲が聴きたくなると、谷村有美とribbonを聴いていた。
      ◆      ◆      ◆
音楽好きの学生君も、紆余曲折を経て、なんとか社会人となり、パソコン通信niftyserveで初のEメールも経験した。
しばらくすると「インターネット」と「ホームページ」なるものが世の中に浸透していく。
1995年、1996年あたりだったと思う。
キーワードをテキストボックスに入力して、検索。
あーんな言葉、こーんなコトバを検索しては、喜んでいた。
しかし、サイトがないレコード会社だってざらにあったし、アーティストの公式サイトだってほとんどなかった。
   まさかなぁ、
と思って入力した「西脇辰弥」というキーワードで、とんでもないページに出くわしてしまった。
http://homepage3.nifty.com/saburoku/nishiwaki/
初めてインターネットのポテンシャルを体感した瞬間だった。俺と同じこと考えていて、全然俺よりすごい人がいるのね、と絶句もした。
(後に管理人さんとはメールをやりとりした。ほとんど当時のままそのサイトは残っていて、ちょっと嬉しい)
そして、中古CD探しの日々が始まる。
地味なアーティスト、かつ廃盤が多く、大変苦労した。
友人たちにも「中古CD店で見かけたら教えてくれ」と未入手リストをメールで送っては協力してもらった。「あったぞ~」なんてかかってくる電話に驚喜していたものだ。
ほどなくYahoo!オークションがスタート!この中の何枚かは定価よりも高かろうがかまわず落札した。
何年か前にこのサイトで紹介されたものはほぼ(※)入手した。
そうして手に入れた、西脇さんがアレンジャーとして活動を始めた当時の珠玉の作品群、iPodに入れっぱなしで今でも本当によく聴いている。
      ◆      ◆      ◆
生命が誕生するのも偶然なら、生まれてからだって偶然の中で生きていくものだ。
僕はそれほど勤勉でもないリスナーだし、へっぽこクリエイターだけど、音楽がなかったら生きていけない。
そんな自分に、もっとも影響を及ぼしたミュージシャンの一人と、その音楽に、こうして邂逅した。
(後編に続く)
(※)ヤフオクも最近はチェックしてないが、Lip’sの「これ、うまいぢゃん」は相当マニアックなシロモノらしく、入手困難みたい。

告知:田中光栄SESSION(2/10金)

田中光栄さん(僕のハーモニカの先生)がライブやります。
最近ノリにノってるのでとても楽しみ。
●田中光栄SESSION 8:00pm~ Charge ¥1,900
クロマチックハーモニカとブルースハープの両方を使ってジャズ、フュージョン、ブラジル、ブルースやオリジナル曲もやります。スティービーワンダーやトゥーツシールマンスのようなメロウなものを中心にリトルウォルターなどのブルージーでファンキーなものまでやります。
田中光栄(Harmonica)西村雄介(B)須田義和(Ds)にしむらなおと(P)
マルディグラ
東京都世田谷区奥沢5-29-10 リブレB1
03-3722-6892
東急東横線・大井町線自由が丘駅南口より徒歩3分
●ご本人からのメール
“ライブ告知をするの忘れました。2/10(木)(祭日前です)に自由が丘のマルディグラという店でライブやります!
メンバーはベースとピアノはおなじみの西村ツインズでドラムに須田義和さんという人の4人でやります。 割と近年はセッション的にアドリブ吹きまくりのライブというよりも「曲を聴かせる」という方向性が多かったと思うのですが今度のライブは原点に戻るようにアドリブでガンガンに吹きまくりでやりたいなと思ってます。今度はドラムいるしね。
一部は完全ジャズでバリバリのビバップ系から一応またバレンタイン近いので(笑)ジャズバラード系やって、二部はソウルパーティーというか宴会ノリでイロイロ(笑)ただ今度は自分でライブやるのは初めての店だし、流れを大事にしたいのでなおとさんのウクレレコーナーは無しでジャズやソウルのセッションライブとしてやる予定です。みなさん是非集まって下さいね!”

トゥーツ・シールマンス@名古屋ブルーノート(最終日2nd)

早くも2日目最終日。今日はテーブル席。追っかけ同然だなこりゃ。
この日本公演の最後のステージということもあって、昨日以上に気合いが入っているのが伝わってきた。ものすごい集中力。
セットリストはちょっと変わった。Midnight Cowboyが無くなって、代わりに酒バラが入り、終盤戦ギターコーナーはBluesetteに加えWaltz for Sonnyともう1曲の合計3曲!
いっちゃん嬉しかったのは3 Views of a Secret。
CD聴いても泣きそうになるのに、まいったなぁ(ウルウル)。ペースのNicさんが終盤のコーラス歌ってました。
東京2日目以降、毎日マネージャーのDirkさんに声をかけていたので今日は「メールアドレス今年から新しくなったぜ」って、名刺までもらってしまった…はは。ベルギー行ったら訪ねよう。
明日の朝は全員5時起きで名古屋→フランクフルト、その後メンバーはベルギー、オランダ、モスクワに散り散りなのだそうだ。お疲れさまでした!

家族の風景

…とまぁ、トゥーツの公演、もちろん行きたくて行っていたのだが、名古屋最終日はちょっと特別だった。
今月、両親が二人とも誕生日を迎え、70になる。
記念日を大切にしない家庭に育ち、10年前に還暦のお祝いをしなかったことなんて気にもしていなかった。
けど、ここ数年、両親にはさんざんな思いをさせてしまっている。2年前俺が離婚してしまい、こんな歳なのに孫の顔は遠のく一方…ちょっとぐらいは罪滅ぼしをしておこうかと、古希のお祝いを兼ねて、家族4人で名古屋ブルーノートのテーブルを囲んだのだ。
名古屋の都心なんてバスと電車で40分くらいのものだが、父も母も名古屋なんてしばらく来ていなかったらしい。ずっと車いす生活の妹も本当に久しぶりの外出。
父は複音ハーモニカの経験が少しあるので、予想に違わず喜んでくれた。「やっぱりあれは神様だなぁ」などと俺に語りかけてみたり、メンバーのソロが終わるたび、やんやと声援を送っていみたり。日本酒2合が手伝った上機嫌でお店のスタッフを握手攻めし(笑)、下手な字で一生懸命アンケートも書いていた。
ステージ上のトゥーツが82歳(大正11年生まれ)であれだけ元気に演奏しているのが母も衝撃だったらしく(思った通り。しめしめ)、「ほー。どこの国の人?ベルギー?82歳?ほー。あれはあんたのハーモニカと一緒?ほー。同じなのに全然音違う」(うるさい!笑)としきりに感心していた。日頃ジャズとは無縁、J-POP好きの妹も終始にこにこしていたので、彼女なりに楽しんでくれたようだ。車いすの件は事前に電話で打合せをしておいたので対応も丁寧でスムーズだった。野坂さんはじめ名古屋ブルーノートのスタッフに感謝。
昨日の公演後、家族で来る旨伝えてあったマネージャーのDirkさんが公演後席まで訪ねて来てくださり、一同大興奮。父は今度はサンキュー連発攻めだ。
帰りのタクシーは参ったな。後部座席の父はひたすら上機嫌で、過ぎていく栄や今池、覚王山の街々を「昔はこの辺一帯、トウモロコシが植えてあって…あだったこうだった」とノンストップで語り出し、妹と母は相当迷惑そうだった。
やれやれ。長生きしてくれよ、ホント。
タイトルはハナレグミの曲からもらいました。ハイライトもウイスキーグラスもうちのテーブルにはありません。