Trinite(トリニテ)新アルバム「prayer」8月19日リリース

トリニテ オフィシャルサイト

作・編曲家、ピアニストのshezooさんと知り合い、彼女が主宰するバンド(?)Trinite(トリニテ)の公式サイトの立ち上げをお手伝いし、新アルバム「prayer」の音源も早々に聴くことが出来ました。

サイトで紹介されているテキストの繊細なイメージや、「女性ピアニストの」という、一種の枕詞とは対極にある何か…強いて言うなら「骨太さ」…を最初に感じました。ジャズ、クラシック、現代音楽、といった言葉で類型化して説明しづらい、骨太なサウンド。
2001年初演され、それから10年以上練り込まれた緻密さと、荒々しさ、雄々しさが同居しています。各プレーヤーのソロもたっぷりフィーチャー。それぞれ、確かな力量に裏打ちされた存在感がありました。

特に好きなのは、4曲目の「天上の夢」。アルバムを通底するインタープレイの緊張感を解放する、ひたすら美しいメロディー。カタルシス。泣けてちゃうんですよね、素直な性格なんで。いや、トシのせいで涙もろいのでしょうか(笑)。

音質も生々しくて、ヘッドフォンではなくスピーカーでしっかり聴いてみたいアルバムです。

Toots 90(Limited boxset)/Toots Thielemans

トゥーツ・シールマンスの生誕90年を祝う限定版。今更ですがレビューします。ちなみにトゥーツの誕生日は4月29日。日本人には覚えやすいですね。

これがオランダから到着した小包。届いたのは5月20日。

予約特典で送料無料&メルマガ登録で€10ディスカウントがあり、€90で買えたんだったかな?

公式サイトにあるとおり、豪華絢爛のボックスセット。中身はこんな感じでした。

梱包をとくと、LPのボックスセットのような雰囲気の箱が現れました。重厚感があります。

ふたを開けて化粧紙に挟んであるのは直筆のメッセージカード。

シリアルナンバー入り。1569。

化粧紙を開くと、最初に現れるのはアナログLP。

次がバイオグラフィ。

ちょっとした百科事典のような厚みがあります。

斜め読みしましたが、トゥーツとデューク・エリントン楽団との契約書とか、ジャズ史としても重要な資料がてんこ盛りでした。

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↑以前オランダ語のバイオグラフィーが発売されていたのですが、読めるはずもなくあきらめたことがありました。それの再編集版でしょうか(って全く未確認の憶測ですが)。

バイオグラフィーの下には、CD+DVDが。紙ジャケット仕様です。

 

もうね、買っただけで満足ですよ、聴いたり観たりしなくても!(笑)。家宝家宝。音と映像はそのうち書きます。

ちなみに、本日(2012年7月4日)現在、まだ入手可能ですよ!

REMINISCENCE/松本圭司

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何年か前に、Minako “Mooki” Obataのライブ、そして伝説の(!)冨田ラボコンサートと、立て続けに松本圭司さんの演奏を聴く機会があり、そのセンスの良さにすっかりまいってしまった。
ソロアルバムが発売されているのを最近知って、3rdアルバムをさっそく入手。
ジャケットに惹かれたことと、エレクトロニカだったこと。あの上質なセンスでエレクトロニカやられたらタマランなー、と期待してしまいます。
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KALEIDOSCOPE(カレイドスコープ)/トゥーツ・シールマンス、松木恒秀、松岡直也

トゥーツ・シールマンス,松本恒秀

最近になって「トゥーツと松岡直也の競演盤」がある、ということを知り、廃盤なのでなかなか良いお値段で入手。
当時57歳、脂ののりきったトゥーツの参加は、1曲目FALL FOREVER、5曲目FANCY PRANCEですが、特に1曲目が素晴らしい。この曲を聴くためだけに購入してももとはとったかな、というぐらい出色の出来です。

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When I See You/Bill Ramsey with Toots Thielemans

When I See You
When I See You
Bill Ramsey with Toots Thielemans
どうもご無沙汰しております。
最近、何をしているかというと、楽器の練習は全くせず、もっぱらネットショッパーと化しております(^ ^;)。円高なのでeBayで自転車グッズやCDを安く落札してはニヤニヤと…。
そのeBayで出品されていて知ったこの作品。1980年、トゥーツも脂がのりまくってます。ビル・ラムゼイのボーカルも渋い。
聴き所はなんたって、Isn’t She Lovelyでしょう!ハーモニカ吹きなら、おぉっ!てなもんです。個人的にはビル・エヴァンスのソロで大好きなHere’s That Rainy Dayが収録されていたのがうれしかったです。
探してみたらアマゾンのマーケットプレイスで取り扱いがありました。古いわりに入手しやすそうな1枚です。

IN LOVE AGAIN/古内東子

IN LOVE AGAIN (DVD付)
IN LOVE AGAIN (DVD付)
古内東子
最近は、迷いつつCDを買って「おっ!」と思って、ライブでがっかりするというパターンが定着してまして、買おうかどうしようか迷ったんですが、なかなかいっすよ。俺、やっぱ好きだわ、東子ちゃん(笑)。
バラードが多めながら、名盤「恋」と同じような質感。M8「帰るのはあなた」はStrengthに収録の「歩き続けよう」の生まれ変わったような名バラード。M5「Mystical」M7「今夜ベッドで」などは70年代後半のAORテイスト。詞・曲のクォリティのお陰で平均点が非常に高いです。
アレンジは森俊之と河野伸(元コーザ・ノストラのサポートメンバーとのこと)、参加ミュージシャンはアレンジャーの2人に加え、沼澤尚、佐野康夫、松原秀樹、今剛…といった面々が花を添えており、サウンドが悪いはずがありませんね。
いや~、季節感にもマッチして、いいっす。

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ツール・ド・フランス/クラフトワーク

ツール・ド・フランス
ツール・ド・フランス
クラフトワーク
その昔、テクノ少年だった頃(笑)、クラフトワークの作品は聴いていましたが、90年頃を境にほとんど聴かなくなってしまいました。昨今のボコーダー狂いで、少しだけテクノに回帰し、昨今の自転車狂いも奏功してこのアルバムのことを思い出し、速攻で購入。違う方向のベクトル2本が合体したようで不思議な気分です。
音色といい、アンビエント感といい、疾走感といい、めっちゃ気持ちがいいアルバムです。昔を知るファンの方々も一押しするだけのことはあります。ペダリングは1分間に80回転が理想的、などと言われていますが、足の回転や心臓が醸し出すビートがテクノの均質なグルーブにハマるんでしょう。はねたビートの多いヒップホップはハマらないでしょうね。クルマで聴くのもちょっと違う気がしました。自転車で走行中に聴きたい誘惑がありますが、危ないので絶対に聴かないように肝に銘じます。また、CD Extraで収録されているプロモビデオ、競技の映像と音とのマッチングも素晴らしいです。
メンバーのラルフ・ヒュッターが自転車狂、という話は聞いていましたが、それは相当なものらしいです。ライナーノーツによると、ツアーバスにも自転車を積んで、目的地の100km手前でバスを降り、自転車で目的地に向かうのだそうです。いやはや。

Funk This/チャカ・カーン

ファンク・ディス
ファンク・ディス
チャカ・カーン, マイケル・マクドナルド, トニー・メイデン, メアリー・J.ブライジ
クルマのラジオで、ジャム&ルイスのプロデュースによるチャカ・カーンの新譜が発売されているのを知り、速攻で購入。これが大当たりでした。
ルーファス時代の曲をセルフカバーしていたり、これってスティーリー・ダン?みたいな曲があったり、メアリーJブライジが参加していたり、お楽しみもたくさん。コンテンポラリーなR&Bサウンド、70sを彷彿とさせるファンクサウンドなどバラエティーにとんだアルバムです。4曲目のAngelは久しぶりに素晴らしいバラードを聴いた気がしました。
そして発見。マイケル・マクドナルド参加のYou Belong To Meでは何とクロマティック・ハーモニカを披露しているのはBobby Ross Avila(ボビー・ロス・アヴィラ)。ソロアルバムも数枚出ているアーティストではありませんか!不勉強でした。
チャカ・カーンでハーモニカ、といえばFeel For Youで大フィーチャーされているスティーヴィー・ワンダー。ボビー・ロス・アヴィラのスタイルもスティーヴィーのそれに似ていますね。多くの曲で、彼のキーボードにベース、エレキベースにシンセベースが聴けますが、いずれもかなりグッときました。Talk Boxもめっちゃ上手いところも◎(笑)。

Scenarios/Andy Milne, Gregoire Maret

Scenarios
Scenarios
Andy Milne, Gregoire Maret
以前グレゴア・マレ(hca)も参加していたDapp Theoryのアンディ・ミルン(p)とグレゴアの共同名義によるアルバム。
ハーモニカとピアノデュオのアルバムといえば、ビル・エヴァンスの「Affinity」、トゥーツ&ケニー・ワーナーの「この素晴らしき世界に」が有名ですが、この作品はそれらと趣を異にします。
美しいメロディラインと転調がハンコックのChan’s Song(映画’Round Midnightサントラ収録)を思わせるようなAs Far As We Know(3曲目、グレゴア作曲)もありますが、全体的には、アーティスティックな、とんがった、生々しい、美しい仕上がりのアルバムです。ポップではありません。
例えば、非常に幻想的なPharos Of Alexandria(2曲目)。まるで尺八のようにハスキーで妖しいピッチのハーモニカの音色。こんなの他のどんなクロマティック・ハーモニカのアルバムでも聴いたことがありません。そして衝撃的なHouse Of Fisher(6曲目)。低音域でごろごろ鳴らしつつ4度ヴォイシングで訥々と語るピアノに、なんとグレゴアはクロマティック・ハーモニカのスライドをパーカションとしてカチャカチャと“演奏”。ただのギミックではなく、これがアルバムの持つ雰囲気にドンピシャではまっているのですね。ラストのMoon River(「あの」Moon River)も、オクターブユニゾン(けどリズムはバラバラ)の女性ボーカルが絡むという一筋縄ではいかないアレンジ。レコーディングアートのよう。
クロマティック・ハーモニカの楽器としての可能性を押し広げようと格闘しているグレゴアの意気込みが伝わってきます。
あ、グレゴア、グレゴアってうるさいですが、アンディ・ミルンのピアノもめっちゃカッコイイです。ハンコックのリズム感にエヴァンスの緊張感が合体したような、素晴らしい演奏です。

大推薦!ピアノ・マン(Gregoire Maret参加)

ピアノ・マン
ピアノ・マン
セス・オケグォ・アルピノ・フィーチャリング・グレゴア・マレット

Gorby Harpさん
に教えていただいたこのアルバム、日本のレーベルWARD RECORDよりリリースされております。プロデューサーからジャケットのデザインまで全て日本人チーム。
僕の大好きなフィリップ・セスのアルバム(正式にはトリオ名義)にグレゴア・マレットが参加する、という夢のようなアルバムです。きっとマーカス・ミラーつながりですな。
1曲目のAll The Things You Are。いきなりハーモニカも含むテーマから始まっちゃって、非常にスリリング。後半のラテンジャズの2コード部分のアレンジもかっこよく、グレゴアもアウトして吹きまくってます。
2曲目タイトルチューンでもあるはピアノ・マン(ビリー・ジョエルのあの曲ね)。今度は反対に、愚直なまでにダイアトニックなフレージングが曲想にハマってます。グレゴアは7曲中前半の4曲に参加してます。トゥーツも取り上げているKiller Joeも収録。
トゥーツもとんがったフレーズを聴かせるけれど、あの音色も相まってそれがとんがっているように聴こえない(確信犯的に「聴かせない」のだと思うけど)のですが、グレゴアのフレージングは素直にとんがったまま聴こえるので、彼が参加していたDapp Theoryだったり、マーカスのようなコンテンポラリー・ジャズのサウンドにマッチするんだろうなぁ、などと考えました。
そしてリーダーのフィリップ・セス。プロデューサー、アレンジャー、そして、ピアニストというよりもシンセ使いという意味でのキーボーディスト、として注目されることの方が多かったけれど、このアルバムはとにかくピアノ(アコピ&Rhodes)を弾いて弾いて弾き倒してます。これがウレシイ。ピアニストとしてのフィリップを堪能しまくりました。
これまでグレゴア・マレ(マレット)の参加作品は、アルバム通して1曲か2曲だったりしてなかなかお勧めできるものがなかったけれど、これは大推薦!!
こんなに素晴らしいアルバムが日本発というのも誇らしいですね!!