恋は五・七・五! on DVD(8作品目)

一気に荻上監督づいてしまい、一昨年見逃したDVDを借りてきました。
校長からの命をうけ俳句部顧問に就任した、ちょっぴりトホホな教師。そこにあつめられたちょっぴりトホホな高校生5人。最初はぶーたれていた彼らも、次第に俳句にのめり込んでいき、夏休みに開催される俳句大会を快進撃!

などと書くと、ドッジボールetc.の定番ストーリーですが、役者たちの初々しい演技もあって、全編を貫く清々しさの本当に心地よいこと!
お約束(?)の不思議なインサーションは女子高生3人によるやさしい悪魔。現代の女子高生がキャンディーズってのも摩訶不思議だが、どことなく無気力感のあるウクレレの伴奏が今っぽい雰囲気。
主演の関めぐみさんもかっこよいです。好き。★★★★☆。
●恋は五・七・五! 公式サイト
http://www.go-575.com/
恋は五・七・五! 全国高校生俳句甲子園大会
恋は五・七・五! 全国高校生俳句甲子園大会

チャーリーとチョコレート工場 on DVD(7作品目)

予想通りのストーリー。
リスが可愛い、とか、子供たちが可愛い、とか。
すごーいCG、とか。
ジョニー・デップの怪演、とか。
評判通り。想像通り。
それ以上でもそれ以下でもない。
良質な映画を観た後なのでちょっと厳しめの★★★。
劇場で観たらもうちょっと評価高かった…かな?
チャーリーとチョコレート工場 特別版
チャーリーとチョコレート工場 特別版

かもめ食堂@シネスイッチ銀座(6作品目)

バンド掛け持ちの影響で、今年は映画鑑賞のペースががた落ちですが、それでも絶対に外せないこの作品。小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、というキャストだけでも十分期待させますが、実際すごくヒットしていて4月から上映館が続々増えるようです。初回の20分前にギリギリセーフでシートを確保。
ストーリーは公式サイトででもご覧いただくとして、笑えて、なごめて、美味そうで、ちょっと不思議で、予想を裏切らないおもしろさでした!!★★★★★!!
かもめ食堂の女将サチエ(小林聡美)の凛とした佇まいも気持ちよく、女性ならなおさら入り込んで観られそう。食堂の大きなガラス越しに差し込む、北欧の夏の日差しも美しくて印象的。
お客さんの年齢層も幅広く、年配の方も結構いらっしゃっていました。この映画こそ、DVDよりも満員の劇場で大勢で笑いながら観るべき。その方が絶対楽しい。
かもめ食堂の縞模様のコーヒーカップ、しっかりちゃっかり劇場でも販売しています。なかなか良いお値段(3150円)にも関わらず、買っていく女性がたくさんいました。それぐらい可愛いカップなのだ。俺も欲しい(笑)。
全編フィンランドロケ。数日前、J-WAVEの夜の番組で三谷幸喜が「カミサンがひと月ぐらいいなかった」なんて話をしてました。夫婦で「お互いの作品は絶対に観ない」という約束があるのだそうでビックリ。有頂天ホテルにしろ、かもめ食堂にしろ、素晴らしいコメディ作品なので、なんかもったいない話ですね。
●かもめ食堂 公式サイト
http://www.kamome-movie.com/

愛のコリーダ on DVD(5作品目)

今からちょうど30年前の1976年、愛のコリーダは公開された。子供ながら、この作品でもめていることを知っていた。なぜかわからないけれど、ニュース見ながら8歳の俺は大島渚というおじさんを応援する気分だった記憶もある。
2006年、とうとう愛のコリーダをDVDで観賞した。昨日だか一昨日だか、奇しくもリハビリ中の大島渚さんが5年ぶりぐらいに人前に姿を表した、というニュースがあったばかり。
まったく先入観なし。主役の女が「定です」と名乗るまで阿部定事件を題材とした映画だ、ということも知らなかった。
性についての社会通念なんざ世に連れて変わってくる。2006年に生きている37歳男性の目から見たこの作品は、単なるわいせつとは明らかに次元の違う、いわばポルノ映画の表現を借りた芸術だ。ちょっと見ればそんなのはすぐわかるし、比較するのもばかばかしい。
そうは言っても。
お定と吉蔵のあまりに卑情な「ヤりっぱなし」ぶりにドンビキしてしまい、昨夜は20分ほど見て途中で断念しました。本日気合いを入れて再挑戦。
ホントにすごいよ、こりゃ。
次第に定が過激になり、2人の行為がエスカレートしていく様には男性として戦慄。見る側としても作品と対峙する必要があった。
見終わって、しかしこれは「究極の純愛映画」のような気さえしてしまった。劇中の事象だけとらえれば純愛とは対極なのに、すごく不思議な感覚。定の、セックスという行為に対してこの上なく純粋で忠実でありつづけたところが、そう思わされる理由なのかもしれない。定にとっての吉蔵は「愛の対象」でもなんでもなく「行為の象徴」として存在しているだけだったのかもしれない…なんか凄いこと言ってるな、俺(笑)。そのあたりの感覚がフランス映画にも通じるから、かの地で絶賛されることになったのだと思うのだけれど。
画面の中に執拗なまでに赤色が登場する。「赤」というのはこの事件の象徴的な色で、実際に定が吉蔵を絞め殺した紐の色が赤だったらしい。
冒頭、女中ふたりが女将と吉蔵の行為を覗くため廊下を歩くシーンで、暗闇にポツリポツリとついた明かりの中を着物の赤い裾が移動していく、とか、不自然に赤い座布団が座敷に置かれていたり、とか、挙げればきりがない。何とも美しい色彩設計。へぼい液晶モニタのツブレた黒でなく、スクリーンで暗いトーンの微妙な階調を味わってみたかった。2000年の再公開を見逃したのはつくづく痛い。
★★★★☆。20代で見ていたらまったく違う評価だっただろう。この歳になってから観て良かった。
2006年になっても、この作品ではずーっと局部にぼかしが入っているんだけれども、男の局部が“局部”から“オブジェクト”になったとたんにぼかしが無くなるのが、なんだか虚しい。
実際の阿部定事件については、以下のサイトが非常に詳しい。
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/abesada.htm
模範囚としての仮出所etc.、事件後の本人歴を読んでいると、阿部定自体、人間的な意味で魅力的な存在だったように思える。
クインシー・ジョーンズの愛のコリーダ(81年)はこの映画に捧げられた作品で、原題も「Ai No Corrida」だったのか。へー。知らないことばっかりだ。
愛のコリーダ 完全ノーカット版
愛のコリーダ 完全ノーカット版

The 有頂天ホテル@チネチッタ(4作品目)

雨の降る中わざわざ川崎へ…ネットで予約できるからねぇ…レイトショー&悪天候とはいえ公開初日。Screen 8は満員でした。こんな大勢で映画見るのは昨年のRay以来。
ワールドワイドでヒットを狙っている映画かも。主演に役所広司(バツイチ実直ホテル副支配人)。元妻とのやりとりが微妙にこそばゆく、もし他の役者だったら、と考えてしまいました。しかし彼はShall We Dance?で既にワールドワイドなワケで、なんとなく下心を感じさせるキャスティングかと。
さておき、「みんなのいえ」よりもはるかに面白かったです。★★★★☆。さすが三谷幸喜。おびただしい数の伏線がすべてつながっていく爽快感はラブ・アクチャリー的でもありそれ以上か。
そして、高評価の立役者は伊東“White”四朗(支配人)です、なんたって。上記の“微妙なシーン”も画面のはじっこに伊東四朗が写るだけで大爆笑、という圧倒的な存在感。
映画はこの上なく愉快なので、DVDを待つよりも、劇場に行って大勢で見るのがオススメ。しかし、この映画を面白いと言ってしまうとフジテレビの手のひらの上で踊っているようで実に不愉快(笑)。
●The有頂天ホテル
http://www.uchoten.com/

12人の優しい日本人 on DVD(3作品目)

12人の優しい日本人
12人の優しい日本人
今週末には三谷幸喜監督のTHE有頂天ホテルも公開される、ということでそろそろ三谷モードに切り替えるべく、12人の優しい日本人を見た。
とある一室での陪審員12人による評決。そのプロセスをコミカルに描いている。地味だが達者な役者さんたちの演技と、三谷脚本がぐいぐい引っ張っていく感じで全く飽きさせない。★★★★。猫背のループタイのおじさん(ちょっと小渕恵三風)にはウケました。こういう人いるいる。東京サンシャインボーイズの芝居だったそうですが、映画でもその雰囲気は残ってますね。

Mr.&Mrs. Smith@東宝シネマズ名古屋ベイシティ(2作品目)

ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーによる、とある夫婦。素性も秘密。しかしある事件でそれがお互いにしれるところとなり、かくして人類史上最も壮絶な夫婦喧嘩(というか殺し合い)が始まる…。
しかし、それぞれの組織から追われる羽目になった二人は結局運命共同体。両組織を相手にして戦うことになる。両組織の何十人ものスナイパーたちに囲まれるシーン、「明日に向かって撃て」のラストシーンを明らかに意識していて面白かった。違うのはその後。スミス夫妻は撃って撃って撃ちまくって、勝つ。あり得ない(笑)。
アクション映画だけど、全体をコメディーの要素が貫いており面白く仕上がってます。この映画のブラピはいまいちピンと来ませんが、アンジェリーナ・ジョリーはめっちゃキレイ。★★★★。
●Mr.&Mrs. Smith
http://www.mr-and-mrs-smith.com/index.html

ディック&ジェーン 復讐は最高!@東宝シネマズ名古屋ベイシティ(1作品目)

昨年のカンフー・ハッスルに引き続き、今年の映画初めはコメディーにしました。
ジム・キャリー、昨年は記憶喪失系映画エターナル・サンシャインにも出演してましたが、やっぱりコメディーでさえる人だなぁ、と。良くできた脚本。エンドロールでエンロンなど米国の問題企業が「ご協力いただきました」と列挙してあるのは笑えた(なぜか字幕なかったけどさ)。
年の初めに大勢で笑えるってのは、なんか良いですね。★★★★。
●ディック&ジェーン 復讐は最高!
http://www.sonypictures.jp/movies/funwithdickandjane/

ランド・オブ・プレンティ(44作品目)

最初に見たヴェンダースの映画は「パリ、テキサス」。当時高校1年。何となくヨーロッパへの憧れからタイトルに惹かれたのと、ナスターシャ・キンスキーのちょっとエロい雰囲気が好きだった(何ともませガキ)。ふたを開けてみたらアメリカが舞台のロードムービーで、ヨーロッパのヨの字も出てこない。しかし大傑作だった。以後、単館上映の連続記録を打ち立てた「ベルリン・天使の歌」も観たし、もちろん「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」も。ヴェンダースの映画は外せないのだ。ようやく見に行った。
今回もやっぱり有楽町シネカノンでの単館上映。
9.11から約2年後のアメリカが舞台。ベトナム帰還兵叔父と、病に倒れた母の手紙を持ってイスラエルからアメリカにやってきた姪が、あるホームレス殺人事件の被害者の兄へ遺体を届ける旅に出ることになる。
叔父は枯れ葉剤の後遺症が残り「1人で」アメリカを守ろうとしてスラムをパトロールしている。右寄りの愛国心からくる正義感、アラブ人に対する嫌悪むき出しの汚い言葉など、かなり絶望的な人物。だが、その旅を通してほんの少しだが自分のしていることを認識出来るようになっていく。姪が携えた妹の手紙も読み、ふたりの距離も縮まっていく。グラウンドゼロをふたりで訪れるシーンでエンディング。
ベトナム戦争、パレスチナ問題、人種差別、少年犯罪、9.11…米国が抱える病は本当に根深いものばかりだ。
ちょうど今読んでいる辺見庸と坂本龍一の対談「反定義」ともシンクロしてしまいとてもヘヴィーで辛かったが、希望の萌芽も感じられた。今の自分では★★★☆。けれど、何度も見返すと★が増えるだろう、間違いなく。
パリ、テキサスだって、(ヴェンダースじゃないけど)トラフィックだってそうだったからね。
●ランド・オブ・プレンティ
http://landofplenty.jp/

フレンチなしあわせのみつけ方 on DVD(43作品目)

フレンチなしあわせのみつけ方
フレンチなしあわせのみつけ方
メルセデスのディーラーに勤務する男3人。妻と激しいケンカばかりの男、バツイチで好き勝手やっている男、そして美しい妻(シャルロット・ゲーンズブール)と幸せな家庭を持ちつつ、実は浮気中の男(イヴァン・アタル)。それぞれの悲喜こもごもを描いた作品。
シャルロット・ゲーンズブールはどんなに明るい役を演じても、陰があるのがいいね。細くて暗い女性は好きよ(笑)。
なんちゃって映画ファンなので不勉強なのでイヴァン・アタルについては全く知らなかったけど私生活でもシャルロットとパートナーなんですね。
特筆すべきは、アヌーク・エーメですよ、マイフェイバリット「男と女」の。イヴァンの母親役で登場。もう70台?ご高齢のはずだが、ホンマに美しい。決して目立ちすぎず、けれどしっかりした存在感がある。
あと、これまたマイフェイバリットの「俺たちに明日はない」の引用。シャルロットとイヴァンが部屋でぐちゃぐちゃになってふざけているシーンが、南米での銀行強盗のシーンになぞらえてあって、しかもバート・バカラックのサントラもそのまんま使われてて、面白かったな。
テンポの良い作品でした。★★★★。単純なハッピーエンドでないところも◎。
●フレンチなしあわせのみつけ方
http://www.gaga.ne.jp/french/note.htm