ディア・ハンター on DVD(15作品目)

ディア・ハンター
ディア・ハンター
この映画、子供のころ日曜洋画劇場でよくオンエアされていた記憶がある。3時間3分の大作だから、CMを含む2時間では、ブツギレもいいとこだったんじゃなかろうか。
あの有名なテーマ曲のメロディと、タイトルからイメージされる世界とは全く違う。
明日ベトナムに出征するマイケル(ロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、スティーヴン(ジョン・サベージ)の3人。駆け込み結婚を祝福するまちを挙げての盛大な結婚式から物語はスタートし、前半1時間で1970年頃のペンシルバニア州の田舎町に暮らす若者の様子を描ききる。
中盤はいきなり何年後かのベトナム。3人を含む捕虜の、2人ずつロシアンルーレットをさせ、賭け事に興じるベトコン。このシーンは衝撃的。公開当時、あまりに非人間的なベトナム人の描き方に賛否両論だったそうだが、所詮映画はファンタジーだし、(アメリカ人の視点での)ベトナム戦争の狂気の表現としては成功しているのではなかろうか(しかしまぁ、これだけエゲツナク描写されたら、ベトナム人じゃなくても怒るだろう)。中盤から後半、戦争による契機で沸く、そこからまた時が経ち陥落寸前のハノイ(ホーチーミン)で、戦争成金のベトナム人たち興じる賭け事としてロシアン・ルーレットのシーンが登場する。
結局、三者三様の運命をたどり、最後はニックの葬式となる。最後の最後、まちの人々も含むそれぞれが、自分たちのベトナム戦争を否応なく受け入れた段階で、このストーリーにほんの少しの光明が見えた気がする。
長くて重くて暗い、けれど今こそ必要な映画だと思う。
そして、あのテーマ曲は、美しすぎて罪深い。★★★★☆。

投稿者: mellowtone

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