ボコーダーの名曲「I Thought It Was You」考

ハービー・ハンコックのアルバム「Sunlight」に収録されているI Thought It Was You。
サンライト
サンライト
ハービー・ハンコック
ハービーがボコーダーで主旋律を朗々と歌い上げるこの曲、ボコーディストなら一度は演奏してみたいところ。僕も先日演奏しました(←要リベンジ。もっかいやりたいなー)。
●歌詞の入手
「Sunlight」発売後のツアーで来日したハービー・ハンコックのバンドが、そのままレコーディングに参加しているという笠井紀美子のアルバム「Butterfly」にもこの曲は収録されています。
バタフライ
バタフライ
笠井紀美子 with ハービー・ハンコック
その国内盤の歌詞カードが大いに参考になります。
ただし注意深く聴いてみると、メロディ11小節目あたりの部分、
The perfume she wore(オリジナル)
The perfume I wore(笠井)
と違いが。1人称でもある歌い手が男性(ハービー)から女性(笠井)になったためでしょう。「he」に変更されなかったのは、時代もあってperfumeという単語が女性的過ぎたということでしょうか。今もmens fragranceとは言っても、mens perfume、とは言わないですよね。
ちなみに、明るい曲調に反して「後ろから漂ってきた香水の香りで、それが彼女だと思って…(中略)…俺の全ての夢はキミだった」みたいな、古内東子かよ!とツッコミを入れたくなるような(笑)セツナイ系の歌詞みたいです。
●キー&構成
部分転調だらけのこの曲。サビのキーで言うと、Key of D(オリジナル)、Key of E(笠井)です。
オリジナルの構成は後半ドロドロすぎてライブ向きではありません。笠井版はボーカルとボコーダーの掛け合いですっきりしていてライブ向きの構成だったので、先のライブではKey of D&笠井版の構成で演奏しました。
●ボコーダーで”歌う”
この曲が凄いのは、無機質なボコーダーサウンドで徹底的に”歌って”いること。テクノ/エレクトロニカでのボコーダーサウンドとは一線を画しています。
歌うんだからリズム、ダイナミクス、ピッチ、どれも大事でしょうが、とりわけ、リズムとピッチベンダーの使い方がとても重要。打鍵/離鍵時にベンドアップ/ダウンしたり、半音・全音ぐらいのメロディーの動きならベンダーだけでやっちゃうとか。ゆっくりしたベンディングでニュアンスがつけられています。
そのくせ、LFOによる無機質なビブラートが、これまた面白いです。
●ボコーダーによるハモリ&多重録音
オリジナルも笠井版もボコーダーが多重録音されていて、これをどう再現するかは悩みどころです。
後半のボコーダーによるリズムバッキング(!)は他の楽器でカバーしてもらうとしまして、問題はメロディー。美味しいラインで、いやらしくも気持ちよさそうにハモってます。
じゃあ和音弾けばいいじゃん、という単純なものではなく、ハモリor 主旋律のベンドアップ/ダウンした音がダイアトニックスケール上にない、なんてことが起こるわけです。それも、一瞬のベンディングならごまかせるけど、ゆっく~りした音程移動ではごまかしがきかない…ということで未だに悩み中です。
もう1人ボコーディストがいれば話は早いのですが(笑)。
(2007.8.13追記)プロモ?映像ありました

投稿者: mellowtone

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「ボコーダーの名曲「I Thought It Was You」考」への1件のフィードバック

  1. 今2006年にいます。DIGITECH の TALKER でヒットしこちらのブログを知りました。
    DIGITECHのTALKERは入手が困難(というより高価)でなかなか手が出せませんね。ほぼ定価(55000円)位で取引されています。eBayに行けばもう少し安く手に入りそうですが、なかなか勇気が無くて。
    現行品同じようなエフェクタってないもんなんですかね?

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